★ポスト・コイタス

 

 

京都、百万遍の交差点から北へ100メートル程。墓石屋を超えて東へ曲がると左手に見える、瀟洒な店構えのバー。

 

学生時代から片手で数える程しか行ったことが無いけれども、行くたびその素っ気なさに驚く。

 

店内には調度品や花器や灰皿やメニューの類いさえ一つも置かれておらず、橙色の照明の中、カウンターの木目が素朴な存在感を主張する。一つ残らず無駄なものを捨象した空間に、非日常を感じる。トイレに至るまで、驚くほどシンプルである。ペーパーホルダーがほぼただの棒。

 

マスターもとにかく渋い。60過ぎくらいか。オーダーしてもこっちが不安になるくらいレスポンスが薄い

 

そして高い。二杯飲んで3000円近く取られた。こんな高かったっけ

 

ごくたまに行きたくなるのはノスタルジーと、哀切にひたりたくなるからか

 

店名は情事の後に、という意味