空洞です

ゆらゆら帝国

最後のオリジナルアルバム。

 

ゆら帝の他のアルバムとは一線も二線も画す、怪作。

エフェクトがかったボソボソ声のボーカルと、延々とフレーズが繰り返されるサウンドは、抑揚がなく、まるで妄想世界のよう。

 

収録曲のタイトルの並びが面白い。一曲目が「おはようまだやろう」なのだが、二曲目三曲目に「できない」「あえて抵抗しない」と続く。だんだんやる気なくなっとるやん。

四〜六曲目に「やさしい動物」「まだ生きている」「なんとなく夢を」。だいぶ逃避の影が見え始めているような

そして「美しい」「学校へ行ってきます」「ひとりぼっちの人工衛星」、最後に

「空洞です」。

 

 

宮藤官九郎がラジオでこのアルバムを紹介した時、曲名を並べてみて、

「だんだん死んでいってるんですねえ。」と言っていた。

 

 

個々の曲についても、前向きなのか後ろ向きなのかよくわからない歌詞で、ある種怖い。

でも、何だか心地よく、永遠に聴いていたくなるのである。

 

特に印象に残る曲

 

3 あえて抵抗しない

タイトルがイカす。リフがちょっと楽しい。

さしずめ俺はちょっとしたくぼみさ
特別邪魔になっていないつもりさ
掘ろうが 埋めようが 好きにしな もし したいのなら

 

8 学校へ行ってきます

ズバ抜けて不気味な曲。ゲームの電子音みたいなBGMに、ゾンビみたいな低音で喋っている。歌っているんじゃなくて、喋っている。

学校へ行ってきます。森の中は危険がいっぱい。でもぼくはだいじょうぶ。がっこうへいってきます